カルチャー
夏だ!夏はやっぱり花火!大阪の松屋町で花火の売り子で青春してた話
2017年08月11日 宮道幸利
松屋町。関西人のイメージは、ほぼ人形の町だろう。だけど、この界隈の夏は、花火や露店の景品販売の色が濃くなるのを知っている人も少ない。
夏のこの街で「花火を売る」という楽しさに目覚めた青春時代。朝早くから夜遅くまで、二ヶ月かな休みなく働き続けた。若いだけに疲れ知らず。ただただ、楽しかった。何より組み合わせ次第で、無限の提案ができる花火の魅力に虜になった。色んな人の売る場面には立ち会いたい。きっと商売人気質の性格が自分にあったのだろう、と今思う。
振り返ると、さまざまなお客さまがいた。
***
「今度、彼女と海に行くのでおすすめってどれ?」
この手の相談は大得意だった。
予算をある程度聞いた上で、提案をする。予算オーバーでも、こちらの提案に納得してもらえれば買ってくれた。とにかくワンパターンではなく、シーンと人に合わせた花火選びがなによりも大切だった。
「場所どんなところですか?」「彼女と花火したことありますか?」「音で驚かせても大丈夫です?」「ロマンチックにいきたい?」答えを探すために質問を投げかける。
会話をしながら、それぞれの花火の説明もしつつ、同意を得ると、ポンポンとかごに入れていく。かごを見ながら、人も見ながら、シーンも思い浮かべながら、ずっと妄想をずっと巡らせる。そして、どの順番でどの花火にするか。
自分が考えたものや情報をしっかり伝える。
私のために選んでくれた花火。こういう特別感が重要なんだ。
***
線香花火だけを買いに来るお客さまも多かった。
「おーい、ちょっと外で線香花火しない?」手軽さを求める人も多いのだろう。
そんな線香花火にも、東と西で違いがある。西はワラが持ち手になったスボ手牡丹(写真左)。東のものはカラフルな紙製の持ち手になった長手牡丹(写真右)。
出身地次第で欲しいものが異なるため両方を取り扱っていた。買いに来られた方には、僕は両方をおすすめしていた。実際に違いも知って欲しかったし、誰かと線香花火するときは、片方しかやったことがない人も多いから、驚きも与えられる。
案外知らないのは、それぞれでベストな持ち方。
スボ手牡丹は、斜め上に向けると火玉が落ちにくい。
かたや長手牡丹は、斜め下に向け使う。
ちょっとしたことだけど、教えると喜んでもらえる。
誰かと線香花火をするときには、コツは相手にも教えてはいけない。はじめは「どっちかが長く火玉を落とさずにできるか」ここを最初は大人げなくやってみることをおすすめした。そのうち手の内を明かす。なんとなく、いつもの線香花火が違った日になる。
***
パックものには二種類あった。
お店が用意したもの。
製品となってパックされていたもの。
これはこれで売れていた。選ぶのも面倒だし、手軽にお土産ができる。
なによりもお得感も見た目あったりする。
ただ、買われると少し悲しかった。
パックの中身は暇がある時間帯に、組み合わせて作っていた。ただ、買われる方の家族構成や使い方がわからないと、この組み合わせでよかったのかが不安になる。売るにはいいが、気がかりが残ったままになってしまう。よかった?のかと。
やっぱり詰め合わせるよりもトークしたい。今思うと、組み合わせ可能な少量のセットを多く作って、要望に応えてこれをパックにすればよかったと思う。
***
最大のお客さまはグループだった。みんなで海行って、山行って、メインイベントはBBQと花火という方が多い。こんなお客さまが来る時は楽しかった。予算もある程度あり、さまざまな提案ができる。
吹き出し花火のいわゆるドラゴン。
上空まで一気に上がり気持ちよい割音と星が咲く、いわゆる打ち上げ。
頭上より「ぬいぐるみ」や「パラシュート」などの落ち系も楽しい。
手持ち花火も種類もあった、勢い激しい手筒花火なども。僕は色が何色にも変わる手持ちが好きでした。
ネズミ花火に、学生が好きなロケット花火。
グループで使用する人たちにはとにかく丁寧に説明する。
かつ花火のごとく勢いのある口調で身振り手振りも加えて話をする。
そう、ここがとても重要。
花火で盛り上がりたいが、不安を持って買いにくる人が多い。買いにきた人は盛り上げないといけない責任も預かっている。しょぼいといけないのだ。だから、安心と後押しする勢い、両方が必要だった。
しかも僕は、花火と花火を組み合わせるという裏技を持っていた。これは本当に受けがよく、前のあれ!と指名で買いに来る人も多かった。
***
・・・こういうことを繰り返す日々を過ごすと、紹介いただくことも増え、かなりのリピートさんがつきました。今となっては、懐かしい夏の思い出。
さて、最後に僕が愛する「筒井時正玩具花火製造所」の線香花火。
ここがないと西の線香花火「スボ手牡丹」は消えていました。本当に伝統を守ってくれてありがとう。敬意を払いたい。
線香花火はお土産として渡すのも粋だなと思う。この夏に、どうでしょうか?
なんだか花火の記事書けて、幸せだ。
そうそう、記事の写真は全部、線香花火からでした。
ほなに。
この記事を書いた人
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宮道幸利
取締役 (大阪本社)
取締役
(大阪本社)
職場だけでなく、住居も梅田。住人目線で梅田情報を発信するプロデューサー。ハリーポッター似のイジられ度2000%のルックスながら、若手社員を果敢にイジっては、さわやかにスベることが日課に。永久に変化しない見た目から、火・水・木曜日はコピーロボットが出社しているとの噂も。営業、プロデュース、企画、リーダー、人事、その他諸々を担当。 お客様の事業に貢献する一端を担っているため、日々プレッシャーと格闘している。
職場だけでなく、住居も梅田。住人目線で梅田情報を発信するプロデューサー。ハリーポッター似のイジられ度2000%のルックスながら、若手社員を果敢にイジっては、さわやかにスベることが日課に。永久に変化しない見た目から、火・水・木曜日はコピーロボットが出社しているとの噂も。営業、プロデュース、企画、リーダー、人事、その他諸々を担当。 お客様の事業に貢献する一端を担っているため、日々プレッシャーと格闘している。
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