カルチャー
見立ての文化(京都)
2017年03月21日 ガースー
京都物ばっかり書いてて、そろそろ他のものも書こうかと思ってるのですが、
書きやすいのでどうしてもこの辺のネタになってしまいます。ガースーです。
「見立ての文化」
見立ての文化ってのが、京都には有ります。いえ、そもそもの話、日本文化ってものはこの「見立て」の文化に非常に密接に繋がってるんだと思いますね。
こんな例があります。
とある食器屋さんに一人の女性が買い物に来ました。
ふと、目に入ったのは急須の蓋。「ハンパ物」として色んな物(例えば対になってるはずの夫婦茶碗の片割れだけとか、このように蓋だけとか蓋無しの急須とか)が並んでいる箱の中。
「これ、ウチのあの急須に合うやろか…」
そうやって、家にある蓋の無くなった急須の柄を思い浮かべる。決して同じと言えない急須の色と柄、それでも合してみると、なんとなくアンバランスさが良い塩梅になるとその女性は「想像」できた。
「これ、ください」
そのセリフに店主も余計な事を言わずに「おおきに」と商品を包みだす。
まぁ、こんなシーンです。
見立てるってのは、自分の中の「価値観」と「想像力」、そういうものを組み合わせる事にあるんだと思います。
服装もそうですよね、新しい服を買う時に自分が持ってるあの服と、これは合うかな、合わないかなって基準で服を選ぶ。
買ったのに家に帰って着てみたらイメージと違ってたという人は、この「想定」や「想像」が出来てなかったんだろうなって思います。
京都の人には、この自分なりの「見立て」を持ってる人が多い。
でも、不思議なことにこの「自分なりの見立て」が、突拍子もない奇抜さになる事が無いのはすごく面白い所で、この「見立て文化」の元になるのは京都人独特の「他の人に見られたら恥ずかしい事はしない」という「恥」の文化が根本にあるからこそだと、長年京都の人たちを見てるとそう感じてしまうのです。
「文化」っていうものは「窮屈さ」が有る状態の方が華が咲くなんて言われるんですが、この京都の恥文化という窮屈さ自体が見立て文化を昇華させているんだろうと思うんですよね。
この見立ての「価値観」を自分なりに持つことによって、「京都」って街が今まで以上に面白く映ります。
例えば、料亭にご飯を食べに行ってみましょう。器一つが「世界」であり、その中に料理を描く訳ですが、器とお料理、もっと言えばお部屋という空間、そこにあしらわれた季節のお花、それらが一つの世界観を作り出しているんですよね。
お寺等のお庭もそんな見立ての一つ。お庭は宇宙を表していて、その池や木々、灯篭やいろんなものが作り手の何かしらの意味を持っているのですが、それを自分なりに「見立て」て観て(お寺は見るではなく観るですね)も良いんです。それは「正解」が何かが大事なんじゃなくてそういう目線で観ていく事が大事なんだそうです。
仕事柄、デザインに携わる事もあるのですが、私は全くデザインセンスはからきしでして…。でも、恐らくデザイナーさん達が「このデザインには意味がある」って言って説明してくれて、「おぉ、なるほど…」って感じる感覚が、この「庭には意味がある」っていうのと少し近しいのかなぁ…なんて思う。
<<本題終了>>
<おまけ>
全く文脈と関係ないですが、満月と三条大橋の擬宝珠(ぎぼし)。
擬宝珠なんて言葉こんなとこでしか使わんですよね。この擬宝珠には新撰組が付けた刀傷が残ってる…なんて言うのは色々嘘か真かなんて色んな論議があるんですが、
昔話に想いを描く、そんなロマンチックな妄想の世界なんだから何が正解で何が間違いかって実はどっちでもいいぐらいの話のような気もします。(この件に関しては)
見立て、この擬宝珠、玉ねぎみたいにいっつも見える…。
はい、そういうのじゃないですね。見立てって…。
ついでなので、もう一個。
2017年 3/12時点で、この三条大橋の横に居てはる「弥次喜多さんの像」の少し横手、桜の木があるんですけどね。
もう、咲いてましたね。
気の早い桜です。
そして、気付いた人は気付いてらっしゃるでしょうが…。
葉っぱが付いてる。
若干葉桜っぽくもなってるんですよね。
この辺少し温かいし、人通りも車の通りも多いし、ちょっと調子狂って咲いちゃったんですよね。
満月と桜、何とも相性の良い夜でした。
もっときれいに撮れたら素敵なのに…。今度なっきーに写真の撮り方教えてもらおうかな…。
少し、春を先取りした気分になりました。では、また!
この記事を書いた人
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ガースー
プロデューサー (大阪本社)
プロデューサー
(大阪本社)
喋る事、歌う事が好き。休日にはふらっと珈琲飲みに京都へ。 最近はチップスター依存症という病魔に蝕まれている。「1日1個チップスターが支給される社会を!」と意味不明の叫びをあげるチップスターモンスター。 本業はWEB系ソリューションの営業兼プロデューサー。 お客様の叶えたい事をWEBというツールをとおして実現できるようにするコンシェルジュのような存在を目指す。
喋る事、歌う事が好き。休日にはふらっと珈琲飲みに京都へ。 最近はチップスター依存症という病魔に蝕まれている。「1日1個チップスターが支給される社会を!」と意味不明の叫びをあげるチップスターモンスター。 本業はWEB系ソリューションの営業兼プロデューサー。 お客様の叶えたい事をWEBというツールをとおして実現できるようにするコンシェルジュのような存在を目指す。
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